ペッパー・ルーと死の天使
イギリスの作家ジェラルディン・マコックランさんの2009年に出版された作品。日本語版は2012年に発売と割と新しい作品である。
読んだ感想としてはちょっと残念な感じ。
読み物としてはしっかりしてるが、何か期待していたものと違ったのかもしれない。
14歳までに死ぬと予言された1人の少年ペッパーが、じっと死を待つのではなく、運命から逃れようと海に出たことから物語は始まる。
行く先々で問題も起こすし、人が死んだりするが、持ち前の優しさで愛されもする。
ただ正直、読んでいる側としてはペッパーのことを好きになれなかった。
作者は忠実に14歳の少年を描いたつもりなのだろうが、逆にそれがいけなかった。世間知らずだったり、発想が幼稚すぎて読んでいてイライラする。それなのに、大きな問題を解決しようと大胆に首を突っ込むから物事がややこしくなる。
それが面白さじゃないかと言われたらそうなのかもしれないが、実際に法やルールを破っているため、その大胆さや優しさが余計に独り善がりのもので腹ただしく感じるのだ。
最後のオチも、未成年の少年がやったことだから、全部チャラだよねという責任を持たないところもただただ面白くない。
主人公は一度だって責任を取らなかった。痛い目にもあっていない。嘘をついてお尻をぶたれることも、涙ながらに説教されることもない。
死んでしまう運命が悪いと、好き勝手嘘を重ねて、エープリルフールだって優しい嘘だから許されるなんてことはない。
周りをめちゃくちゃにして、最後は逃げて次の面白い生活の始まり、みたいな後ろ向きなくせに、優しいから許してみたいな感じが最高に気持ち悪かった。
作者はチャップリン的な痛快なドタバタ劇を描きたかったようだが、キャラやユーモアを間違えてしまったようだ。
唯一良かったのが、舞台が1910〜20年の古き良きフランスという点だけだ。