スピニー通りの秘密の絵
アメリカの女性作家ローラ・マークス・フィッツジェラルドさんの作品。「卵の下を探せ」という祖父の死に際の言葉から始まる物語。
とても読みやすく、どんどん明かされて行く謎と近く真実。冒険をするようにとてもワクワクして読めた。
ダビンチコードに近い感覚の本。だけど常に愛嬌とユーモアが漂い、軽く本を読みたいという人には強くオススメできると思う。
登場早々にいきなり交通事故で息を引き取るところから始まるおじいちゃんジャックの過去に関する物語だ。
全ての謎はそこからすべて始まり、含まれている。
宝の地図というテーマのは児童文学において、永遠のアイコンだと改めて思った。そして、私は未だにそのトキメキと興奮の虜になっているんだと気づく。
最後のオチである暖炉の下でお金と共におじいちゃんの手紙を見つける場面は、ずっとそこを探していたはずなので今更気づくかという多少現実味に欠けるが、そうこなくっちゃというカタルシスでもある。
自由に勝ることはない。お金や名誉、誰にどう思われようが、自由を謳歌し、味わい尽くして死ねれば、後悔ないというメッセージにはとても共感できる。
ニワトリというひたすら地面をつつく鳥の習性も、ひとつの人生のメッセージになっていて面白かった。
また母親のキャラクターがとても良い。あり得ないようだけどこんな人実際にいるよなという頭のネジが少しズレているけど、イカれているわけでなく、強烈な目的に向かってただひたすらに集中しすぎて社会性を失った人。
母親としては失格だが、その分その子供はしっかりする。うまくバランスが取れるようになっている。
友達のボーディもいいキャラクターだ。初めての友達が、セレブみたいな設定はやはりワクワクするし、実は孤独を抱えた似た者同士だったりする。
友情もとてもスッキリとアメリカらしく描かれている。日本を舞台に日本人が描いていたら、2人がやたらケンカしたり、妬み嫉み、男の子が登場して関係を拗らせようとしただろう。
日本人は良くも悪くもやたら、そういうふうに内面を深く書きたがる。
そういうのを求めている人もいるだろうが個人的には好きでない。重くなるとストーリーがブレるし、読んでいて嫌な気持ちになるだけなので、こっちは求めていない。そういう点において、この本は満点だ。