アンランダン 下 ディーバとさかさま銃の大逆襲
不思議な裏ロンドンでの少女の活躍を描いた作品の下巻。
まずは率直になかなか面白かった。とても面白かったわけではなく、なかなか面白かった。
外人特有のユーモアというかスカした感じが気持ち悪い部分もあったが、想像力の面で言うとかなり素晴らしいとも言える。
ルイスキャロルのアリスのオマージュと言えばそれまでだが、それでもしっかりこの分量をまとめるのには力が必要だ。
裏ロンドンの7つの秘宝を1つずつRPGのように集めていくというシーンで、中をすべて飛ばしていきなり7つ目のさかさま銃を取りに行くという流れは気持ち悪くて本当に寒気がした。
正直、いつの間にかザナに変わって主人公となったディーバの発言は、あまり考えられたものでなく、作者のチャイナ・ミエヴィルさんの思考にそった感じで、キャラクターとして生き生きしていたかというとそうではない。常に伏線を張り、回収するという作業に終始して、キャラクターを深く描けず、物語としての余裕がなかったのが残念だ。
その分、見た目にも強烈で分かりやすいキャラ付けに頼ったのかなという印象。
作者のチャイナ・ミエヴィルにはイカれた才能はないが、頭が良く、プロデューサーとしては適した方な気がする。
歴史に残る作品でもないし、語られる作品でもない。ただ、久々に想像力を刺激してみたい方で、時間と忍耐がある人には読んでみてほしい。