児童文学概論

ヤングアダルトジャンルを読み、感想を示します。個人の駄メモです。ネタバレあり要注意。

マディガンのファンタジア 未来からのねがい 上

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5年前の2012年に76歳で亡くなられたマーガレット・マーヒーさんの作品。

世界崩壊後の世界を舞台に、サーカス団であるマディガンのファンタジアが旅し、目的を叶える様子を描いている。

ワクワクする設定であり、おばあちゃんである作者が書くだけあって、まったく浮つかないのも好感触。出来るなら、世界崩壊について、フィロソフィーやアイロニー、謎と真実など詰め込みたくなるものだか、今のところまったくそこには触れられない。

目的地は決まっているが、一章ごとにクセのある村や町に立ち寄り、そこで起きる厄介な出来事をクリアにして、また次の町に向けて出発するという、まるで水戸黄門ドラクエを見ているような作品だ。

物語の鍵を握る未来から来た3兄弟とその3人を捕まえようとする2人の大人。ただの牧歌的な物語ではなく、未来から来たこの5人+不思議な力を持つとされるペンダント、タリスマンが絡まることで、クラッシックな文体なのに、ハイブリッドな今時のヤングアダルト作品になっている。

そのバランス感はとても興味深い。次の下巻でどんな秘密が明かされ、未来が待つのか。この上巻は長いフリであることを切に願う。きっと期待していいだろう。